子ども一人ひとりの学びを成長に導く『tomoLinks』
ICT技術によって子どもたち一人ひとりの特性を把握し、個別最適な学びを実現する学習支援サービス『tomoLinks』。
学習eポータル標準モデルに準拠している『tomoLinks』を提供するコニカミノルタに取材し、『tomoLinks』を中心にICT教育への取り組みについて伺いました。
インタビュー
―『tomoLinks』の開発経緯と特徴を教えてください。
『tomoLinks』はちょうどコロナ禍にサービスを開発しました。学校に行きたくても行けない子どもたち、子どもたちと対話的な学びができない先生たちのために、『学びに関わるすべての人とつながる、子ども一人ひとりが望む未来に向かって自ら成長していく世界の実現』を目指しています。もともとコニカミノルタは画像処理技術やAI技術をはじめとして様々な業種で事業を行っており、それらの技術を教育現場の課題解決に活用できないかということではじめました。ICT技術等によって学校現場における業務を改善し、先生の子どもを見取る余裕と子どもたちのペースにあった学び方を支援します。
『tomoLinks』は3つのサービスで構成されています。連絡帳や協働学習ツールといった先生の働き方改革につながる「学習支援」。先生の授業の様子を分析し、客観的に授業を振り返ることができる「授業診断」。子どもたちの変容をダッシュボードで可視化し、子どもたちに学び方の気づきを与える「先生×AIアシスト」の3つになります。
―「先生×AIアシスト」について詳しく教えてください。
GIGAスクール構想で子ども一人一台端末が整備され、教育データの利活用が注目されています。教育データの利活用は教育委員会や先生だけではなく、子どもたちが自己調整しながら学ぶためにも重要だと考えています。
「先生×AIアシスト」では、教育データとして学力調査の分析によってその自治体の子どもたちの学習進度に合わせたAIモデルを生成します。AIによる先生向けダッシュボードでは、子どもたちの学習状況の把握や指導計画の立案を支援します。子ども向けのダッシュボードでは自己習熟マップによって自分の教科/単元の習熟状況を把握することができます。また、おすすめ教材から子どもたちは学習方法を選択し、先生や子どもたち同士の協働的な学びを通して学習意欲を高める仕組みを開発しています。
―「授業診断」について詳しく教えてください。
ベテランの先生が大量退職されている中、どのようにベテランの先生の指導技術や知識を若手の先生に継承していくかが課題だと考えています。「授業診断」は、教員養成のサポートを目的として、画像センサーとマイクを用いて授業を撮影します。その映像データを用いて、4つの観点で分析を行います。まず、先生と子どもたちの発話量を可視化する「発話比率の時系列推移」、「挙手人数の時系列推移」。先生が意図した方向に児童の視線を誘導できているかの「視線低下率の時系列推移」。机間指導が特定の場所に偏ってないかの「机間指導の動線」の4つの観点のレポートを先生に提出します。先生から発話比率や机間指導など自分の気づかない癖を客観的に把握することにつながったというフィードバックをいただいています。また、授業診断は教員養成のフラッグシップ大学である大阪教育大学と共同で教育実習のDXに関する研究を行っています。
―『tomoLinks』は「MEXCBT」への対応をしているとのことですが、詳しく教えてください。
『tomoLinks』は学習eポータル標準モデルに準拠し、MEXCBTによる2023年度の全国学力状況調査に対応します。全国学力状況調査のデータを用いた分析をダッシュボード形式で提供することが可能です。また、シングルサインオンや国際技術標準「OneRoster」による校務システムとの名簿連携等によって、先生の業務負担軽減や具体的な教育データ利活用のソリューションを提供する予定です。
―今後の展望をお聞かせください。
学力調査や紙のテスト等、学校の中で完全デジタル化できていない部分があります。現在、学校において紙で行われている学習のデジタライゼーションをはじめとして、教育データの収集や教育データを利活用といった教育現場のDXを支援します。「MEXCBT」は、その目的の手段の一つであると捉えています。
―ありがとうございました。