活用レポート

生徒自身がルールを作り、企画運営するICT委員会 香蘭女学校中等科・高等科

香蘭女学校中等科・高等科
生徒自身がルールを作り、企画運営するICT委員会

今回は、東京都品川区にある香蘭女学校中等科・高等科のICTセンター、センター長の甲斐雅也先生に生徒1人1台タブレットをどう活用されているのかをお聞きしました。ICT導入というと、どうしても教員主体で実現したい授業や教育活動を検討しがちですが、同校は生徒が主体的にICT委員会を運営し、利活用を企画検討しているという珍しい学校です。当日はICT委員の生徒さんにもお話をお伺いさせていただきました。

ICTセンター センター長 甲斐雅也先生


 

―どのような経緯で生徒さんへ1人1台導入をはじめられたのですか?
最初は2012年に電子黒板を導入するところから動き始めました。その後、ICT利活用やICTに関する問題解決を図る専門部署として「ICTセンター」を設置しました。電子黒板は、全教室にプロジェクター型を入れ、授業での活用方法を一部の教員が研究し、タブレットを導入し、共有していきました。それを見て、これはいいかもしれないという話になり、専任教員全員と、生徒貸出用としてタブレットを50台入れました。最初は実験的に始めましたけど、1年間くらい実践していくと、お互いにタブレットを持っていることでやれることが変わってくるという認識が広がり、全員の導入が始まりました。その後、中高1学年ごとに導入し、去年の段階でやっと全員がタブレットを持った形になります。

 

―生徒の学習面でどのような期待をもって導入されたのですか?
そうですね。やはりグループワークなどはタブレットを使うと、よりインタラクティブになるだろうということです。教員と生徒の間で様々なやり取りができて、かなりスピーディーになりますので、これは便利だと思いました。まずは50台から試しましたが、予約が一杯で使えないクラスが出てくるくらい活用され始めたので、全員に購入してもらうことにしました。また、学校を卒業した後、大学生や社会人になっても抵抗なくタブレットを扱えるようになって欲しいという目標もありました。1台持っていることで、クリエイティビティが刺激され、情報発信力が身に付きますし、他者と協働学習ができるのが一番いいですね。

 

―導入にあたり気をつけたことはどのようなことですか?
電子黒板導入の際には、黒板が良いという教員も当然いましたので、全員で一気にやりましょうというのではなく、「黒板も使いつつ、電子黒板だとこのように使えますよ」という状態を作りました。ICTが苦手な先生もいるので、スクリーン式のものにし、簡単なコントローラーで切り替えができるものを選びました。また、書画カメラを各教室に置いて、タブレットに慣れていない先生も書画カメラなら使ったことありますよね、というようにして、なるべく抵抗が少ない状況を作って広めていきました。

 

 

 

 

 

―生徒さんの1人1台の活用について教えてください。
全学年で導入していますが、中1は学校生活に慣れてからという意味で6月くらいから手渡しています。授業では、ロイロノートを使用しています。グループワークをする際は、他の人の答えをシェアできますので、発表してもらう班も選ぶことができます。また、その場で問題を解かせて提出することができますので、これまでだったら当てて発表した子しか出来てる出来てないの感触が教員は掴めなかったのですが、全員の答えがこちらに送られてくるので、生徒の理解度が分かります。この授業マネジメントが変わったことは大きな違いだと思います。生徒自身も、タブレットがあれば簡単に映すことができるので、発表の機会が増えました。それこそアクティブラーニングとか、ジグソー法などを使って、授業を組むことができるようになりました。

 

―ICT委員の生徒自身がICTに関するルールを作成するとお聞きしたのですが。
最初の導入時に、高1で委員をやりたい人を募り、10名くらいが集まりました。学校内での管理方法やモラル的なことも含めて、生徒目線でルールを作った方がいいのではないかと思い、委員会を立ち上げました。電車の中で知らない人の写真撮らないとか、そんな簡単なところから、SNSの書き込みに関しても守るべきことなど、生徒自身が考えました。そして高校生が中学生に向けてモラル講演会を企画してホールに集めて伝えたりしています。ルール作成は、教員は大枠として必要なことは伝え、生徒には気をつけるべきことを「十か条」で考えてもらいました。その後、すり合わせをしながら1冊の冊子にまとめていきました。

 

―ICT委員会の生徒さんたちの活動はどのようなものですか?
中1の初めてiPadを渡す日に、設定補助のお手伝いをお願いしています。また、スタイラスペンのデザインを生徒が企画しました。売店を通して文房具メーカーの人に来てもらい、商品企画をして作りました。それから、月に1回、ICT委員が通信をPDFで配信しているのですが、そこで便利なアプリ紹介などを全校に向けて情報発信しています。

 

―今後のステップとしてどう展開を検討していますか?
もう一段次のステップにいきたいという話をICTセンターの教員同士で話しています。授業内容に関しては、教科横断的な知識を身につける学びが増えてきていますが、それをもう少しICTを活用してバックアップできないかを検討しています。それから、取り組みを「どう評価するか」という部分も難しい検討課題です。今までの学校生活の中にICTが入ってきたことによって、便利になったところもありますが、基本は今までの学校が目指すものと変わらないというスタンスでやっています。そこに加えてもう一段階、ICTがないと実現できなかった教育をどう加えていくかということを今後考えていかなければいけないと思っています。

【ICT委員の生徒さんのお話】

■田中さん
私たちはICT委員の3代目で現在高2です。活動は主に、月に一度アプリで「ICT委員便り」を発行しています。例えば、プレゼンで使えるアプリや勉強に使えそうなアプリを紹介しています。また、文化祭が近いと、文化祭でのiPadの使用ルールを作って配信しました。模擬店では、作る人と売る人が離れているけどコミュニケーションをしたい場面があるので、そういう場合は、許可をとって、ipadを使用するというようなことです。

■友田さん
半年に1回を目標に、全校生徒対象に入れてほしいアプリや利用方法についてアンケートをとっています。みんなの要望を集約し、ICT委員で話し合いをして、それをICTセンターの先生に伝えます。また、中学生を集めて、情報モラル講演会をやっています。これらの企画は、週に1度お昼にICT委員が集まり、話し合いの場を設けています。今は、前年度とは違った活動をしたいなと思っています。例えば、先生にアプリ紹介をしたり、スクリーンの使い方を分かりやすいように紙にして教室に置いておくなど、もっと皆が使いやすくなる方法を考えたいです。

 

 

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