企業取材レポート

みんなの会話をリアルタイムに視覚化するサービスVUEVO(ビューボ)

グローバル化が進む現在、国籍や人種、言語、性差、経済状況、宗教、障害のあるなしにかかわらず、すべての子どもが共に学び合うことのできる「インクルーシブ教育」が目指されています。
 今回ご紹介する「VUEVO(ビューボ)」は聴覚障害や日本語以外の言語を話す人とのコミュニケーションを促進するツールです。ピクシーダストテクノロジーズ株式会社のView of Voice事業部・川田 夏希氏に「VUEVO」を開発された経緯やサービス内容について伺いました。

ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
View of Voice事業部・川田 夏希氏

《プロフィール》
ピクシーダストテクノロジーズは社会的意義があるソリューションを連続的に世の中に生み出し、社会実装することをミッションに社会課題の解決に取り組んでいる会社です。その中でView of Voice事業部では、コミュニケーションバリアフリーを目指し、複数人の会話を可視化するVUEVO、対面リアルタイム字幕・翻訳のVUEVO Display、スマートグラスの開発を行っています。
川田氏プロフィール:特別支援学校教員養成課程(聴覚言語障害)を卒業、言語聴覚士として補聴器メーカー勤務やマーケティングディレクターとして従事。2023年6月よりピクシーダストに参画し、聴覚障害当事者コミュニティとの交流や大学等教育機関への導入を担当。

「VUEVO」を開発された経緯について教えてください。

VUEVOは聴覚障害の方が抱える課題を解決するために生まれました。

聴者の場合、騒がしい環境であっても、音声を無意識に選択して話している人を特定したり、必要な情報をピンポイントで聞き取ったりすることができます。ところが、聴覚障害や聞こえにくさがある方は、複数人と会話する状況になると発言者の特定や発言内容の聞き取りが難しいことが多く、複数人の会話に参加するとき、補聴器などを使用しても声の方向がわからない、聞き分けが難しいといった課題がありました。
 実際に、聴覚障害の方にヒアリングしたところ、誰が何を話しているのか分からないために会議に出席できない、会議に出席したくないという意見がありました。また、ざわざわした場所で友達とうまくコミュニケーションを取ることができないなど、多くの困りごとが見えてきました。

このような困りごとを解決し、コミュニケーションのバリアフリーを実現したいと考え、「VUEVO」を開発しました。

 

「VUEVO」はどのように使用するのでしょうか?

VUEVOを用いると、グループでの話し合い活動や職員会議など、複数人と話すときにどの方向から話しているのかをパソコン等のディスプレイ上にリアルタイムに可視化することができます。話し合いや会議時に机の上に置いたVUEVOマイクから会話を拾うことで、方向を特定し、内容を文字で表示することができます。会話が保存できるので、振り返りや議事録にも使用することができます。

VUEVO使い方


 

「VUEVO」の独自性や特徴をお知らせください。

当社は、社会的意義があるソリューションを連続的に世の中に生み出し、社会実装することを生業としています。その中でも「コミュニケーションのバリアフリー」の実現を後押しするソリューションを手掛けることは、とても社会的意義があると考えています。聞こえの違いや、言語の違いを超えたコミュニケーションを実現するソリューションを生み出すために、いくつかのプロジェクトを進めており、今回の「VUEVO」もその一環です。

「VUEVO」の特徴は大まかに次の3点です。

  1. 誰が話しているか直観的にわかる

    まず、一番の特徴として、「誰がどこから話しているのか」という発話者の方向が直観的に分かります。会話の内容を文字変換してそれぞれの方向に表示し、方向ごとに話者の名前も登録することができるので、誰が話しているのか分かります。
    複数人が同時に話すシーンでは、一般的な文字起こしソリューションだと会話が混ざって文字変換が崩れてしまうことも多いのですが、VUEVOマイクはそれぞれの発言を方向で切り分けて文字に変換し、表示することができます。

  2. 情報の遅れをなくし、ありのままを届ける

    二つ目はリアルタイムな表示です。VUEVOマイクは発言とほぼ同時に、1秒以内に発話方向と内容を表示することができます。特に会議の場面では、発話者が突発的に変わったり、間に相槌などの他者の反応が割り込んだりと、非常に速いスピードで色々な情報がめまぐるしく交わされます。
    このようなコミュニケーションの情報も含めてリアルタイムに届けることで、会話についていくだけでなく、会話のニュアンスやリズムをつかみ取ったり、自分が発言するタイミングをつかめるようになったり、会議にも参加しやすくなります。

  3. ChatGPTによる要約や会議の質をアップデートする先進機能

    三つ目は、Chat GPTによる要約や記録などの先進機能を搭載することにより、会議の質そのものを進化させることができます。
    会議中の会話を5分ごとにリアルタイムで要約し、終了後は会議のタイトルや概要を自動で生成します。会議中の聞き取りの負担が減り、会議の内容に集中することができます。また、要約も含め内容が記録&保存できるので、正確に会議の内容が理解できるようになります。
    会議の記録はシステム上に自動で保存され、議事録としての活用もできます。自分のタイミングでいつでも振り返りができ、周囲の人に会話の内容を聞き直す手間や心理的負荷も軽減され、結果的に業務の効率化や生産性向上にも繋がります。

会話記録


 

「VUEVO」は現在どのような学校で使用されていますか?

聴覚障害の方がいる学校様への導入が一番多いです。主に大学の学生支援室で配慮が必要な学生向けのサポートとして利用してもらっています。5つの大学のうち、2つの大学は留学生の支援を目的に導入されているところもあります。また、ゼミに留学生がいる場合にゼミ内のコミュニケーションの目的で使っていただいたりもしています。職員会議での使用については、1大学が効率化の目的で使っています。

 

「VUEVO」の今後の展望についてお聞かせください。

今後は特にグループワークや職員会議での話し合いの質をあげる観点で活用していただきたいと考えています。会話がリアルタイムに可視化されることで、コミュニケーションの本質である「お互いに伝わった、通じた」を確認しながら対話ができるようになります。また、視覚情報もあることで内容が理解しやすくなったり、気づきや新たな発想が生まれたりと、よりクリエイティブな会話にも繋がると考えています。多言語での使用も可能になっているため、外国人のお子さんや保護者へのダイバーシティへの配慮にも活用いただきたいです。

 

インタビュー時に「VUEVO」を実際に使用する様子を実演いただきました。そのリアルタイム性、再現性の高さに驚き、このようなサービスを日常的に活用することができれば、聴者と聴覚障害間のコミュニケーションの問題や多言語間でのコミュニケーションの問題を取り払うことができると感じました。異なる他者同士のコミュニケーションをより円滑に、なめらかに行うことができる「VUEVO」を是非多くの人に体験してほしいと思います。

 

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