活用レポート

総合学習の時間にもICTをフル活用 玉川聖学院中等部・高等部

玉川聖学院中等部・高等部
「ICT×玉聖オリジナル科目“人間学”」
ICTを活用し、みんなで「生きる」を考える

早くからICT教育への対応をしてきた、ICT先進校である玉川聖学院(以下、玉聖)。

最近では、広報スタッフの生徒による映像作品、CG制作やボーカロイドを使用した情報の授業、国内私立中高初導入のWi-Fiシステムなど、ICT関連の話題に事欠きません。今でも情報科、ICT推進担当の先生方は各メディアや関連セミナーにひっぱりだこです。

しかし、玉聖のICT教育で着目すべきところは「情報の授業」だけではありません。各科目の先生方がそれぞれ積極的に活用方法を見出して効果を上げているところです。今回は、情報科主任・理科主任の大沼祐太先生にお願いし、玉聖のICT教育の現在と、特にICT使用が活発な玉聖独自科目「人間学」を取り上げて、授業内での活用状況を伺いました。

 

 

―現在のICT導入や活用の状況について教えて頂けますか。

大沼先生:現在、高校1年生が1人1台のタブレットを所有しています。各家庭で1台iPadを購入して学校に持ってくる、いわゆるBYOD(BringYourOwnDevice)による導入を行いました。学校内には安全、安定、高速なWi-Fi環境が整備されていますので、生徒全員が教室で使用しても不安定になることはありません。そのおかげで、先生方も積極的にタブレットを使用しようという意識が生まれやすくなっています。実際に、ほぼ全ての科目の授業でタブレットの使用実績があります。

―様々な科目でタブレットを利用されているとのことですが、どのように利用しているか実用例を教えて頂けますか。また、タブレット導入後、どのような効果を感じていますか。

大沼先生:例えば、理科では実験の際に生徒が自身のタブレットを使って自由に写真や動画を撮影し、結果を記録しています。玉聖では、タブレットは従来のPCとは異なり、鉛筆、消しゴムやノート等と同様の“文房具の一つ”として持ち歩き、有効に活用してもらいたいと思っています。ですので、BYODだからという面もありますが、ルールも厳密に設けるのではなく、基本的な8項目のみに設定し、家に持ち帰ってもルールさえ守っていれば生徒が自由に使えるようにしています。導入後は、生徒がプレゼンテーションを行う機会が導入前に比べて5~6倍に増えました。もともと、玉聖独自科目「人間学」で、プレゼンテーションの機会が多かったことをきっかけに、他校に先駆けてプロジェクタや電子黒板などのICT機器の導入を積極的に行ってきたという背景があります。その時と比べても、現在のプレゼン機会は劇的に多くなりました。

―お話にありました「人間学」ですが、どのような科目でしょうか。

大沼先生:人間学は、玉聖の独自の科目で、20年以上前から高1高2の必修科目として実施してきました。ここでは「自分自身を見つめること、生きることの意味」を考えます。外部講師を招いてお話を伺ったり、生きることに関する様々なテーマについて自分の考えを深め、また仲間と共有したりしながら視野を広げていきます。そのため、ディスカッション、個人発表、グループ発表などの機会が自然と多くなっています。

 

授業見学

今回、高校1年生の人間学の授業を見学させていただきました。

そこでは、いくつかのグループに分かれた生徒たちが、各自のタブレットを使用し、これから調べ学習及びプレゼンを行う“テーマ”について決める作業を行っていました。

テーマは「A:高齢者」「B:障碍者」「C:異文化」でした。班ごとに話し合って決めた希望のテーマをGoogleスプレッドシート上の指定枠に記入していきます。スプレッドシートは教室前方のスクリーン上に映し出されていました。リアルタイムでシートが更新されていきますので、みるみるシートが埋まり、生徒たちはそれを見て、自分たちの班の希望はこのままでよいか、全体を見て変えるべきかを再検討します。

従来であれば、「班で考える→それぞれの班が順番に希望を発表→重複したら再度検討→決定」というプロセスを踏むところですが、今回の場合は、班で考えて同時にスプレッドシートに記入することで、すぐに重複が分かり、早い段階で再検討に移ることができています。タブレットの使用によって、時間を効率的に使った授業が実現していました。

ここで決定されたテーマを、グループごとに調べてディスカッションを行います。そして、「時代、社会、制度を背景として、またこれまでの人間学で学んだことと絡めて発表する」ことを目指してタブレットにインストールされているPreziやGoogleスライドを利用し、クラウド共同作業で発表準備をしていきます。

 

―大学入試改革への対応が話題になる前から、自分で考えて発表するという機会を大切にしていたという背景があるからこそ、ICT教育や環境整備に関しても他校に先駆けて取り組むことができたのですね。それでは、今後の展望をお聞かせください。

大沼先生:現在、全教科全教員が玉聖アクティブプログラム(通称TAP)の仕組み構築のために活発に動いています。TAPは自分の興味のあるテーマに関連して、外部研修やボランティアに積極的に参加していくためのプログラムです。ICT環境の整備によって、体験へのアクセスがより円滑に可能となることを目指しています。具体的には、GoogleクラスルームにTAPのページをつくり、随時様々な情報(外部研修プログラムの案内や、地域ボランティアの募集、各種検定試験情報など)をアップしていきます。必要な情報へのアクセスが容易になることで、生徒の体験への参加が一層活発になっていくと考えています。また、情報の授業では、これまでに取り組んできた様々な実習を発展させ、ディズニー映画で有名なPixer社が提供しているRenderManを使って、3Dアニメーションの創作までも体験させたいと考えています。

一般の科目でもICT活用を活発化させ、さらに情報の授業では他校に先んじて新しいことに挑戦していく玉川聖学院。今後の発展にも注目です。

(2016年9月21日取材 聞き手:コアネット教育総合研究所 山本)

 

◆Tips

  • Google Apps(後にG Suiteに改名):Googleが提供する、クラウドベースの業務支援・コミュニケーションツールの集合体。Gmailや、MS Officeに相当するGoogleドキュメント・Googleスプレッドシート・Googleスライド、オンラインストレージのGoogleドライブなどが含まれる。クラウド上なので、資料を同時編集できる点が優れている。
  • Googleクラスルーム:Google提供の教育支援アプリケーションで、クラウド上にクラスのグループを作成し、課題や教材の配信や共有、連絡などを一括して行うことができる。
  • ボーカロイド:ヤマハが開発した音声合成技術で、歌詞とメロディーを入力することで人間の歌声を再現することができる。クリプトン社の「初音ミク」などが有名。
  • Prezi:「Preziはプレゼンテーションアートの改革を行った。」とTEDでも紹介されたズーミングプレゼンテーションアプリ。教育機関登録で無料で使用可能。クラウド管理、資料の同時編集や非公開設定、YouTube動画挿入が簡単にできる点が優れている。
    https://prezi.com/
  • RenderMan:「モンスターズ・インク」などを制作したPixer社が開発した高精度のレンダリングソフト。非商用版に限り無料でダウンロードして利用できる。
    http://renderman.pixar.com/view/non-commercial-renderman

 

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