今回は2022年8月20日に実施した「コアネット私学教育フォーラム」の内容から、「ICT活用と教育DX」をテーマとした講座「ICT・EdTechを活用した授業実践」より、東京成徳大学中学・高等学校の岩崎洋二郎先生にご登壇いただいた部分を中心に抜粋してお届けします。
生徒の授業中の机にはiPadや教科書、ノートが各々に適した形で広げられている様子が見られる同校。ICTは手段であり、目的ではないという考えのもと利用がされています。今回は岩崎先生の担当である国語科を中心にICT活用効果による学びの深まりという主題でお話しいただきました。
授業でICTを活用する際、iPadを自由に使って自分が学びやすいようにと指示を出すと生徒はそれぞれの形で活用をします。ある生徒はiPadの画面を2分割にして先生からの資料と提出のためのレポートを同時に表示するなど、生徒が各々で最適な形を模索し取り組む様子がうかがえます。
ICTはアウトプットする上では非常に使いやすいツールです。あやふやな形で終わるのではなく、自分の結論を出すことに役立ち、そして周囲と協働する際にも活用できます。それらを行うことによって“学びたい”と思えるようになってくると岩﨑先生は考えます。
中学2年生の事例では、映画を見てその映画の宣伝をするつもりでキャッチコピーをPagesのアプリを利用して作成するという授業を実施。中学2年生では主題を捉えて言語化するのが難しいのですが、絵や画像からアウトプットすることで要約をすることができたとのことです。
高校1年生の事例では、作成したレポート課題に自分で解説を入れるという授業を行いました。画面収録の機能で画面に声を吹き込む形で5分間の解説をつけるように課題を出したところ、30分の解説をつけてくる生徒もいました。ポイントは選択肢を与えて自分で選ばせること、自分で考える時間を与えること、そしてある程度の筋道を用意することにあります。
生徒の学びを深めるためには、学習者のモチベーションを考える必要があります。そのために、先生の知識を教えて深める授業ではなく、生徒自身から深まる授業を考えるようにしています。ICT機器も使わせようと考えるのではなく、せっかく学んでもらった門を伝える手段として活用してもらうようにしています。その際、コピーなども許可をし、コピーしたうえで自分の言葉でしゃべるようにするなどして、生徒たちの気持ちが高まるような授業を心がけており、そうした授業をするのにICTは手段の一つとして活用されています。