活用レポート

ICTとプログラミング教育 相模女子大学中学部の取り組み 相模女子大学中学部

(2019.11.05)

相模女子大学中学部
ICTとプログラミング教育 相模女子大学中学部の取り組み

今回は、プログラミング教育に力を入れている神奈川県相模原市にある相模女子大学中学部に訪問し、ICTやプログラミング教育の導入経緯について、中学部副校長の中間先生と、プログラミング教育を担当されている小学部副校長の川原田先生よりお話をお伺いしました。

中学部副校長 中間先生

小学部副校長 川原田先生

 

インタビュー

―貴校のICT導入の経緯を教えてください。
(中間先生) まず初めに、メディア情報部という部署から、これからの時代はICTが必要であるとの提案がありました。ちょうど国の補助金を受けることもできたため、2015年よりWi-Fi・電子黒板の整備を進め、学校内でタブレット端末を使用できるようにしました。導入や整備に対して、ICTを利用して何か大きなことをやり遂げようという考えのもとで、進めたわけではありません。ただ、これからの時代においては、ICTが文具の一つとして学習ツールとなり、必需品になるとの考えから、導入・整備をすすめました。そして今年、ようやく全校舎内でWi-Fiを利用できるようになりました。これまでは学校共用のChromebook40台とiPad20台を利用してきましたが、来年度からは中学部・高等部ともにBYODの形式で、生徒が一人一台ICT機器を持つことも決まっています。

 

―来年度からのBYODに向けて、現在どのようなことを進めていますか。
(中間先生) 学校としては機種指定をしないBYODを行うつもりです。小学部では、すでに4・5年生の生徒が一人一台iPadを持っていますが、今後、小学部からの進学者が中学部に上がった際に、小学部で使用していたiPadも使えるようにした方が良いのではないかとの意見がありました。そこで、文房具と同じくくりとして、生徒各自が好きな機種を持ってくることを認めようということで、機種指定をしないことに決定しました。学校での使用ルールについては、現在プロジェクトチームを発足し作成を行っています。小学生・中学生も、GSuiteのアカウントを利用するため、Googleを使用できるのであれば、問題は無いと考えています。ちなみに、2020年からは、小学部・中学部・高等部で、GSuiteのアカウントを保護者にも配布し、緊急連絡等は全てGSuiteで行うつもりでいます。

 

―相模女子中学部ではプログラミング教育に力を入れていますが、プログラミング教育とICT導入について、関係性はあったのでしょうか。
(中間先生) ICT導入とプログラミング教育の開始については、実は関係性をもって進められていたわけではありません。相模女子のプログラミング教育については、はじめに小学部から動いた経緯があります。
(川原田先生) 私は、これまで10年以上ロボット教材を使ったプログラミング教育に携わり、STEM教育に必要なカリキュラムも作成してきました。2020年小学校プログラミング教育必修化や近い将来おこる第四次産業革命など、子どもたちにはプログラミングの力や経験が必要であるとのことで、2017年より相模女子大学小学部副校長として着任しました。私の着任に合わせて、学校側に依頼し、プログラミング教育に必要なPCやキットをすべて用意してもらいました。生徒のレベルに合わせながら、私がこれまで作成してきたカリキュラムを相模女子の小学部・中学部のプログラミング教育にて実践しています。

 

―プログラミングの授業について教えてください。
(川原田先生) 小学部では、主にLEGO®WeDo2.0を使用しています。中学1年生ではLEGO®MindstormsEV3とmicro: bitを使用し、中学2年生ではmicro: bitをJava Scriptでプログラミングの授業をしています。中学3年生では、これまでPepperを使用した授業を行っていましたが、最近は2年生と同じようにmicro: bit をJava Scriptで授業をしています。授業レポートや授業の感想などは、GSuiteのClassroomを使用しています。高等部では、これまでプログラミング授業がメインでは無かったため、現在高等部の情報科の先生とカリキュラムの相談している最中です。他の国々では高校生になると、アンドロイドアプリの開発を授業で行っているという状況もありますが、私は日本の高校生にも、そのような授業が必要ではないかと考えます。上手くアプリを開発できたのであれば販売すれば良いですし、そこから新たな道を切り拓くことや起業にも繋がるのではないかと思います。

 

―プログラミングの授業を見学させて頂きましたが、生徒たちがお互いに教えあっている姿がとても印象的でした。プログラミング教育によって、生徒たちにはどのような変化がありましたか。
(中間先生) 私は理科の教員ですが、プログラミングの授業を受けた生徒たちと、それまでの生徒たちとでは、理科実験の取り組みにおいて大きな違いが見られました。これまでは実験の授業で、分からないことがあった際に、手もつけずに諦めてしまう生徒が多くいました。しかし、プログラミングの授業を受けた生徒たちは、「難しい」と言いながらも手をつけない子はほとんどおらず、果敢にチャレンジしていたことに、大変驚いた覚えがあります。私たちはプログラミングの授業を通して、プログラミングの専門家を育てるのではなく、粘り強く学ぶ姿勢や、失敗から学ぶ癖が身についてくれればと考えていますが、実際に、生徒たちの内面がそのように成長していることを実感しています。また、私たちが「プログラミング入試」を導入した経緯もこの点にあります。「失敗したことから学ぶ力」や「考え続ける力」を備えた生徒を積極的に受け入れたいと考え、2科・4科型の入試だけでなく、授業・発表をまじえた新型入試としてのプログラミング入試を実施することに決めました。実際に今年初めてプログラミング入試を実施し、合格し入学してきた生徒たちのほとんどが、1学期の中間試験や期末試験において、優秀な成績をとり、上位にランキングして実力を発揮しています。

(参考資料:新型入試「プログラミング」について)

(川原田先生) プログラミングの好き・嫌いはあるかもしれませんが、先が見えなくても、やってみようと考えることが、プログラミングを取り組む上で大切になります。そして、これからの社会では、そのような考え方を持った女の子が重要になるのではないかと思っています。実は、ロボットの世界大会などでは、女の子が活躍していることが多く、特に中東近辺では女の子に対して工学教育、プログラミング教育に国をあげて取り組んでいるそうです。日本でも、女性の活躍促進が近年言われていますが、女の子がプログラミングを学習することは、プログラミング技術習得による経済的な自立や、社会での活躍に繋がると私は考えています。また、このことは、相模女子大学の創設者である西澤之助の「自立した女性を育成する」という考えにも通じています。

 

―プログラミング授業以外でのICT利用について教えてください。
(中間先生) 学校として、各教科の授業でICTを必ず使用するというルールを設けてはおりませんが、体育の授業では、生徒たちが学校共用のiPadを用いて、自分たちの演技を撮影し、それを確認して修正をするといったことを行っています。そのほか、授業内での動画使用や、プロジェクター・電子黒板を使用した授業が多いことは確かです。また、クラブ活動においてもICT機器を使用しています。バスケットボール部では、4、5年前からiPadを使用してのスコア付けを行っているほか、水泳部においては水中で撮影できるカメラを使用し、iPadでフォームの確認を行っています。ダンス部や美術部でも、ICT機器を利用したクラブ活動を行っています。そのほか、生徒たちはGSuiteのアカウントを持っていますので、GSuiteのClassroomを利用して連絡を行ったり、写真や動画を共有したりもしています。

 

―これからの計画で考えられていることはありますか。
(中間先生) 来年度から始まるBYODによって、授業内でのICT利活用をさらに図りたいと考えています。私たちは、常に時代に即した必要なものを、生徒たちに与えいくことが大切であると思っていますので、新しい技術を柔軟に受け入れながら、相模女子としての新しい教育を作り上げていきたいと考えています。

 

―ありがとうございました。

 

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