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ノーコードツール

ノーコードツールとは、プログラミングをせずにマウスなどの操作で、アプリケーションやWebサイトなどのソフトウェア(コンピューターやサービスを動かす仕組み)を開発するツールのことです。

 

ノーコードツールの普及

 一昔前までは、パソコンでwebサイトを制作したり、新しいアプリを作ったりする際には、ゼロからプログラミング言語を習得して、コードを書いていく必要がありました。このような作業には膨大な時間と労力がかかります。この課題への解決方法として生まれたのが「ノーコードツール」です。

 ノーコードツールは2010年代ころから盛んに使用されるようになったツールです。従来のソフトウェア開発よりも素早く作成することができるため、現在ではウェブ開発、データ分析、ビジネスプロセスの自動化など様々な分野で活用されています。
 ノーコードツールに近いツールとして「ローコードツール」があります。ローコードツールは簡単なコード記述でwebサイトやアプリを開発することができるツールです。ノーコードツールと違いコード記述が可能なのでユーザーの裁量で、機能を比較的自由に追加し、カスタマイズできる点が特徴です。

 ノーコードツールは「ビジュアルプログラミング」とも呼ばれています。プログラミング初心者でもより直感的かつ簡単にアプリケーションを開発できるようになっているため、業務の効率化や自動化をより促進することができます。
 例えば、プログラミング言語を使用しなくても、簡単にWebサイトを作成できる「WiX」や、現在140万人以上が使用している大人気のネットショップ作成ツール「BASE(ベース)」、業務改善ツール「kintone」などはノーコードツールの代表例です。これらのツールを見たり、実際に使ったことがある方も多いのではないでしょうか。

 

教育現場での活用

 ノーコードツールは今後教育現場にも普及が進んでいくと考えられています。どのような活用方法があるのか、いくつか例をご紹介します。

アントレプレナーシップ教育でのアプリ開発

 2021年に開設された佼成学園中学校・高等学校「グローバルコース」ではアントレプレナーシップ教育に力を入れており、社会課題の解決に向けた実践的な学びを行っています。
 そのコースの中の学習の1つとして、NoCodeCamp(ノーコードキャンプ)という企業と合同で、ノーコードツール「Adalo」を使ったアプリ開発が行われました。

 アプリ開発の経験を通して、生徒が街中で無くしてしまった落とし物をすぐに見つけることができるアプリなどを開発し、日常の課題の解決を試みています。
ノーコードツールがあれば、高校生も日常における様々な問題・課題を解決することができるようになります。このような経験が、将来社会やグローバル規模の課題解決へとつながっていくでしょう。

ノーコードツールで教育データ活用

 東京都では2024年から公立の高等学校に教育用ダッシュボードを導入することが決まりました。

 ダッシュボードとは、さまざまなシステムに散在しているデータを集約して可視化し、1つの画面を見るだけで情報を把握できるようにする仕組みのことです。
 教育用ダッシュボードでは、生徒の成績や学習履歴、アンケート結果、出欠席の情報、授業における端末の利用状況などの教育データを、1つの画面に集約・可視化し、分析することができます。
 今までは教員個々の経験に基づいて指導を行うことが多かったと思いますが、教育ダッシュボードを使えばデータに基づく判断を瞬時に行うことが可能になり、児童・生徒の資質や能力を最大限伸ばすことができるとされています。教師にとっても、自分の経験をデータをもとに根拠立てて指導することができるので、自身の技量の向上にもつながっていくでしょう。

 東京都では都立高等学校を始めとして、都立中学校、都立中等教育学校、都立小学校にもこの教育用ダッシュボードを導入していく考えを示しています。
 教育用ダッシュボードは現在様々な企業が開発を進めています。すでに活用されているところでは、MicrosoftのPowerBIなどのノーコードツールが有名です。PowerBIを活用すればExcel上に表示していた生徒の成績やテスト結果、アンケート結果などの情報が、一つの画面上に可視化され、一目見て確認できるようになります。今後は生成AIである「Copilot」も搭載されるようになるため、AIによる生成や分析も行うことができるようになり、教師の仕事量の軽減にもつながっていくでしょう。

 今後、東京都の例のように自治体が主導してデータの活用を進めていく公立学校が増えていくと予想されます。
 私立学校が教育データを活用していく場合、このような教育ダッシュボードを独自に構築していく必要があるため、できるだけ情報を集め、可能な範囲から実践していく姿勢が大切になっていきます。

 

ノーコードツールで誰もが課題を解決できる時代に!

 ノーコードツールはそのほとんどがドラッグ&ドロップの操作で完結します。今までプログラミングの経験がなかった人でも、ノーコードツールでアプリを開発すればプログラミングの基本的な概念や論理を理解することができます。

 自分が作りたいアプリを、年齢に関係なく1日~数日のうちに作成できてしまうのがノーコードツールの驚異的なところです。自分たちの生活や実社会から問題を発見し、解決できるアプリを考え、実際に作ってみるという体験が、すぐにできる世の中になっていることに驚きます。

 自分のアイディアを形にする体験は、子どもたちにとっても大きな経験になるはずです。まずは「触ってみる・使ってみる・作ってみる」ことで、その可能性を体感することをお勧めします。

 

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