企業取材レポート

次世代型デジタル人材を育てる「WOZED(ウォズエド)プログラム」 <プログラム紹介編>

デジタル・AIの急速な発展に伴い、これからの社会で求められるスキル・能力も大きく変化しています。学校教育においてもこのような社会の変化に対応した教育が求められています。
今回ご紹介する「WOZED(ウォズエド)プログラム」はデジタルリテラシーを向上させ、デジタル人材の育成を行うことができる教育プログラムです。株式会社ウィル・シードの須川氏、吉村氏に「WOZEDプログラム」を開発された目的やプログラム内容について伺いました。

株式会社ウィル・シード
「未来へ意志の種をまく(will・seed)」を社名とするウィル・シードは、1人ひとりが自分らしく挑み・学び・変化する場づくりを通じて、その先にある社会を変える価値の創出を目指す。2000年に子ども向け体感型教育で創業後、企業での階層別教育や次々世代・次世代リーダー育成、グローバル人材育成事業を展開。社会や生活、働き方が大きく変化する今、「100の言葉より、ひとつの体験を。」をスローガンに掲げ、未来をつくる学び体験の提供に取り組んでいる。

―貴社が提供しているプログラムについて教えてください。

須川健太郎氏

須川氏:我々ウィルシードは企業研修会社です。学びの編集デザインとして、「エドラボ!」という主に中高大の教育機関向けに新たな教育を開発する事業を始めました。そのデザインのコンセプトは「学びの源泉は好奇心」であり、学校に限らず色々なところに学びの源泉がある、自分なりに学びを作っていこうというコンセプトになっています。MITのメディアラボの、「Lifelong Kindergarten」の考え方にインスパイアされて、5、6年前にスタートアップとして立ち上げました。

※Lifelong Kindergarten・・・MITメディアラボのミッチェル・レズニック(Mitchel Resnick)が提唱した教育理念。幼稚園のような創造的な学びを一生続けられる社会を目指しています。この理念は、特に「プロジェクト」「情熱」「仲間」「遊び」の4つのP(Projects, Passion, Peers, Play)を核としている。プログラミングツール「Scratch」は、この理念に基づいて開発された。

我々のサービスは主に3つの軸に分かれています。

1つ目に「グローバル体験の充実」です。現在はリアルな世界、バーチャルな世界のどこにいてもグローバルの中にいます。その中でうまく生き、活躍できる人を育成したいと考えています。

次に「デジタルリテラシーの向上」です。デジタル社会の中でそのキャリアを磨いてけるような人材の育成も行います。

また、現在AIが一気に来ましたが、その中で人間とAIの違いは何かと考えると、人間にしかできないジェネリックスキル、コンピテンシーと言われる「人間力」の部分だと考えました。その「人間にしかできないソフトスキルの向上」を目指すという、この3つの軸を持っていることが弊社のプログラムの特徴です。

このプログラムは海外でも認められたプログラム・カリキュラムがもとになっており、その土台を持ちつつ、日本の実情を踏まえて、日本の先生や生徒、学生あるいは社会人の方々へアレンジしていけるようになっています。我々が持つ海外の良いプログラムを目利きし、開拓する力や、それを編集して日本に導入する力自体も我々の特徴と考えています。

「グローバル体験の充実」ではイギリスのEton College(イートンカレッジ、イギリスのパブリックスクール)が開発したオンライン・バーチャルクラスルーム内でディスカッションするといったハイブリッド型のプログラムを学校様に導入しています。また、メタバースの中でグローバルな体験を行うことで、コミュニケーション力を養うことができるVRラーニングのプログラムを行っています。

「デジタルリテラシーの向上」では、スティーブ・ジョブズらと二人三脚でAppleを創業したスティーブン・ゲイリー・ウォズニアックが作った「WOZED」というプログラムがあり、後ほど詳しく紹介します。

「人間にしかできないソフトスキルの向上」では「Across the Uni-verse」として「グローバル×地域創生」「探究型の学び」「社会課題解決」を組み合わせることで世界標準のリーダーシップや創造性などを身に付けることができ、どこでも活躍できるようなユニバーサル人材が育成できるようなプログラムがあります。

この3つのプログラムをもとに、これからの世界に立ち向かうことができる人材を育てていこうというコンセプトで事業を展開しています。

―「デジタルリテラシーの向上」ができる「WOZEDプログラム」について詳しく聞かせてください。

吉村裕美氏

吉村氏:「WOZEDプログラム」はスティーブ・ジョブズと一緒にAppleを創業したスティーブ・ウォズニアックの理想のデジタル教育を体現したものです。基礎からデジタルリテラシーを身につけることができる探究型のプログラムで、アメリカではすでに3500校の教育機関に導入されています。
このプログラムの特徴は「仲間と一緒に試行錯誤しながら創造的に考え、手を動かし自らが体験することで、デジタルリテラシーだけでなく、創造性、課題解決力、コラボレーションといったソフトスキルを養うこと」ができる点です。

「WOZEDプログラム」は、インプットパートとアウトプットパートの2つで構成されています。インプットの部分では概念的な理解だけではなく、自分で手を動かして自ら体験をする中で知識やスキルを身につけたり、新しい発見ができるようにしています。そして、このインプットパートで身に付けた知識や技術をアウトプットパートでの課題解決や最終発表に繋げられるようにと考えられています。デジタルリテラシーとしてインプットするだけではなく、学んだ知識を使ってどのように自分たちで考えてアウトプットしていくか。このアウトプットの部分に重きを置いたプログラムになっています。


WOZEDプログラム(1)

また、このような探究型の学びの中で生徒が能動的に学べるように、生徒同士でのグループワークも多く取り入れています。このグループワークからは、コミュニケーション力やクリティカルシンキング、コラボレーション、課題解決力などが身につきます。アウトプットパートでのプロジェクトを体験することで、学校生活だけでなく、進学後や就職後にも活用できる様々なソフトスキルを養えるような内容となっています。
そして、このプログラムを実施するにあたって、講師は「教えすぎない」ことを徹底しています。生徒の皆さんがしっかりと試行錯誤できる、失敗を失敗のままにせず、改善していけるような余白を大切にした授業構成にしています。

「WOZEDプログラム」のインプットパートには、主に「Cording」「AI」「AR/VR」の3つの講座があります。アウトプットパートでは、世の中や身の回りにある地域社会の課題をリサーチやフィールドワークで知るとともに、デジタルでどのように解決することができるかを思考していきます。それぞれのインプットパートで学んだ要素を踏まえて、アウトプットパートで社会課題解決のプロジェクトに挑戦するという構成になっています。例えば、グループで課題解決型ロボットを作る、プレゼンテーション用の映像を作成するなど、グループで工夫をし、独自性のある作品を創り発表することを目標にしています。


WOZEDプログラム(2)

それぞれの講座についてご紹介すると、「Cording」では「Sphero Mini」という教材を使って、ブロックコーディングやテキストコーディングを学びます。ここでは、ただ機械にコーディングするではなく、人間と機械とのコミュニケーションに焦点を当てています。このコミュニケーションを繋ぐものがプログラミングであり、コーディングであるという考えのもと、コーディングによってSphero Miniをどのように動かすのかを実際に体験しながら学んでいきます。

「AI」に関しては、AIのメカニズムと活用法を「Cubelets」というブロックを組み合わせてプロトタイプ・ロボットを作成する中で学びます。どのようにAIが判断し行動しているのか、また世の中にあるAIロボットが実際にどのように動き、人間と協働しているのかについても学びながら、グループプロジェクトとして地域社会の課題を解決するAIロボットを、Cubeletsを使って開発します。

「AR/VR」では、アプリで実際にAR/VR空間を体験しながら学習を進めていきます。 アウトプットとして、体験から得た知識を活用しながら自分たちの理想の宇宙ステーションや火星の基地を考えていきます。

他にも「Data Science」や「Engineering Design」の講座もあります。「Data Science」では、世の中にあるビッグデータをどのように処理し、分析するかを学びます。データを可視化し、分かりやすく表現していく過程では、実際に世の中にあるデータを使いながら探究をしていきます。例えば、米国気象観測所のテキサスの大寒波の気象データにアクセスし、分析の仕方や解釈の仕方、表現の仕方を学びます。

「Engineering Design」では、コーディングと設計の組み合わせを通じてエンジニアリングスキルを習得します。3Dモデリングのソフトウェアと3Dプリンターを使用してエンジニアリングの課題を探究する内容になっています。

このような講座をもとに、デジタルを活用した「情報Ⅱ」や「探究活動」を推進していきたいと考えています。これらのWOZEDプログラムに関しては、各学校様のご要望に合わせてカスタマイズすることが可能です。プログラムを通して正解のない問いに向き合い、課題を解決し、仲間と協力をして「創りながら学ぶ」ことでデジタルリテラシーを向上させながら、これからの社会で必須になるデジタルスキルと発想力をもった人材を育てていきたいと思っています。

「WOZEDプログラム」はこれからの社会で必ず必要になるデジタルリテラシーを、実際に手を動かしてアウトプットする中で身に付けられる点が非常に大きな魅力です。5つのプログラムの中からそれぞれの学校の要望に合わせて導入することができるので、デジタルリテラシーの向上やデジタル人材の育成に関心のある学校にぴったりのプログラムだと感じました。
次回のレポートでは実際に導入している学校事例を紹介します。

コアネット教育総合研究所では株式会社ウィル・シードと協力し、「WOZEDプログラム」をDXハイスクール向けに再構成したものを、学校の要望・予算に合わせてご提案しております。
DXハイスクールも第2期を迎え、DX環境を活用した新たな学びを構築する段階となっています。このプログラムは教職員の皆様への研修を含めた内容となっており、プログラム終了後もこのプログラムで得られた知見を学校内で活用していけるような内容となっております。
DXハイスクール指定校の学校様はもちろん、DXハイスクール指定校ではない学校様にもご導入いただけます。ぜひ、お問い合わせください。

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