今回は2022年7月7日に実施した「ICT活用型授業の実践セミナー」の内容から、佼成学園中学校・高等学校より簗瀬誠先生にご登壇いただいた部分を中心に抜粋してお届けします。
東京都にある佼成学園中学校・高等学校では1人1台のiPadを早くから活用しています。活用を進めていくにあたって重要視したのはICTの中でもCommunicationの要素。Classiを中心に生徒・先生間のコミュニケーションを密にし、保護者も閲覧することで家庭との連携にも積極的な活用をしています。また、遠隔交流として奈良県の中学校とインターネットで結び、知的書評合戦「ビブリオバトル」を行うなどの取り組みも多く行っています。
授業においてはロイロノートを中心に活用し、プレゼンテーションを行う、ルーブリック評価を発表者に送るなど様々な用途に利用しています。特に英語の授業ではロイロノートを利用し、一斉のスピーキングテストを行っているのが特徴的です。ロイロノート・スクールの送る機能を使って、問題が書かれたカードを教員から生徒に共有、生徒はカードに書いてある設定にしたがって、決められた時間内に音声を録音し、提出します。イヤホンマイクを使うことで、全生徒が一斉に話しても、一人ひとりの音声をクリアに録音することができ、教員は提出された音声をもとに、採点を行い、定期考査の評価点の一部に加えます。
高校の英語ではプレゼンテーションと相互評価に活用を行っています。グループ内・もしくはクラス全体にiPadでスライド提示をしながら英語でプレゼンテーションを実施し、聞き手の一人が撮影、それをロイロノートスクールを利用してルーブリック評価を発表者に送ることで相互評価を実現しています。
その他、スタディサプリを反転授業に活用しています。授業前に基礎教科学習の動画を視聴し、授業中はペアで教えあう形で活用することで生徒たちの間にスタディサプリが浸透し、放課後の自学自習に利用されています。
こうしたアプリの他、デジタル教科書も活用しています。デジタル教科書連携ピクチャカードを利用してプレゼンテーションをするほか、他のアプリと合わせて使いこなす教員もいます。一部クラスではVRゴーグルを導入するなど、先生も生徒も自然にICTの機能を使いこなし学習活動につなげる様子が見られます。様々なICTのツールを活用しながら、アナログ(紙ベース)とデジタル(タブレット等)も用途に応じて使い分けもするなどICTの活用は日常的なものになっています。
こうした取り組みによってICT機器がまさにインフラとして活用されている同校。コロナ禍においてもオンライン授業に即対応し、オンデマンドではなくリアルタイムでの配信を実施するなど、ICTがインフラとして定着しているからこその対応の早さといえます。この点はICTにおけるコミュニケーションを重視しているからこそであり、また時間割もオンライン授業用に設定しなおすなど柔軟な対応を行っています。iPadを持っていたからといって勉強ができるわけではなく、プロジェクターがあるからといっていい授業ができるわけではないという考えのもと、どのように使うかを重視している同校。手段としてICTを活用をしている同校は理想的な活用を進めているといえます。