ICT活用事例校レポート

聖園女学院中学校・高等学校(後編) 「ICTツールを活用した英語学習と情報科のPC組み立て授業」

2025年10月7日に取材した聖園女学院中学校・高等学校について紹介します。聖園女学院中学校・高等学校では英語科でのICT活用に力を入れています。また、情報科ではPC組み立て授業などの生徒が楽しく学べるような講習も行っています。
後編では情報科の柴田 俊明先生より情報科の授業やPC組み立て講座について伺いました。

貴校の情報科の授業について教えてください。

本校では、情報の授業が設定されているのは高校2年生のみです。
 中学1年生の技術・家庭科の授業では、iPadを使ったプログラミング、PCを使ったタイピング練習や、Word・Excelの基礎学習を行っています。

中学2年生から高校2年生までは期間が空いてしまうため、情報科の授業では基礎的な内容から、最新のAIやパソコンの仕組み、プログラミングなど、段階的に学べるようにしています。

情報科ではどのようなツールを使われていますか。

プログラミングの授業では、Pythonを使うためにVisual Studio Codeを使用しています。

昨年度は、身長と体重を入力するとBMIを計算できるプログラムを作成したり、AIのCopilotを使ってオセロゲームを開発したりしました。
 1回の授業で完全なものを作るのは難しいため、AIと対話しながら改良していく学習方法を採用しています。
 ただAIを「使う」だけでなく、AIの仕組みを理解しながらプログラミングと並行して学ぶことを重視しています。

また、ホームページ作成やWord・Excel・PowerPointを使った文書・資料作成などの実技も行っています。

授業の前半では情報の仕組みや2進数、データ量などの理論を学び、後半は実際に手を動かす実技で理解を深めています。

実際に手を動かしPCを組み立てる中で、パソコンの内部にあるパーツや構造について知り、パソコンが動く仕組みについて理解を深めることができる。

先ほどPC組み立て講座の話を伺いましたが、女子校でこのような活動をされるのは珍しいと思います。どのようなきっかけで講座を開催されたのでしょうか。

パソコンやものづくりに興味を持つ生徒が一定数いたことがきっかけです。

学校のPC入れ替え時に、廃棄予定のパソコンを活用し、昨年の夏休みにPC分解講座を実施しました。その際に「自分専用のPCを作りたい」という声が上がったので、新たに「PC組み立て講座」を設けました。
 全学年を対象として募集すると全校で約10名が参加し、中学1年生・2年生の参加者もいました。

講座ではまずパソコンの構造や各パーツの役割、組み立て時の注意点を説明したあとに、実際にPCを組み立てました。生徒の皆が楽しんで取り組んでいました。
 材料費は家庭負担でしたが、中にはグラフィックボードを搭載した約20万円の高性能PCを自作する生徒もいました。完成したPCは自分で家に持って帰って、使ってみたり、修正したりする形にしました。

参加した生徒の皆さんの反応はいかがでしたか。

参加者はいずれもパソコンへの興味が高く、楽しみながら主体的に取り組んでいました。昨年の参加者の中には、現在山形大学の「SEPS(スーパーエンジニアプログラミングスクール)」講座を受講し、Arduinoを使った問題解決型の学習に挑戦している生徒もいます。

自分自身も生徒向けとは別の大人向けの講座を受講して学んでいる最中です。

そこでは「大人側も問題解決をしなさい」という課題が出ていて、今ちょうど学校のドライミスト機の自動化に取り組んでいます。普段は毎回手動で水を出して、手動で水栓を締めるということを繰り返していたのですが、それを自動化しようとしています。
 温度や湿度を感知するセンサーをつけて、1時間ごとに自動で状態をチェックし、開閉するシステムを構築中です。
 電源はモバイルバッテリーとソーラーパネルを併用し、半永久的に動作する仕組みを目指しています。

また、今年の夏には生徒と一緒にUnityを使って3種類のゲーム制作を行いました。
 玉を転がす簡単なゲームなどを題材に、物理エンジンや数値調整による動作変化を試しながら、1日2時間×3日間で完成させました。

情報の授業で他にも力を入れていることはありますか。

共通テストに向けた対策講習にも力を入れています。情報科について特に気にかかるのは、女子は情報に対して受け身というか、好きな生徒もいれば、得意ではない生徒もいるのは当然ですが、その開きが大きいと感じる点です。

情報や機械の扱い、2進数の計算が得意ではない生徒が大勢いて、「私、絶対パソコン壊します」と言っていた生徒もいたのですが、情報の授業を通してホームページ制作に関心を持ち、だんだんと色々なものを作れるようになる姿も見てきました。

私のモットーとしては「学習は楽しんでやるもの」だと思っているので、なるべく生徒が楽しめるような工夫をしていきたいと考えています。

その工夫の1つとしては、身近な例を交えた説明をしています。たとえば、ハードウェアやソフトウェアについて話をした時に、「Nintendo SwitchやPlayStationみたいなゲーム機があったりするよね。そういう物理的な機器がハードウェアで、スーパーマリオブラザーズなどの中身の部分がソフトウェアだよ」と話して、PCのOSの話に繋げたりしています。

自分の授業では「反転学習」を導入し、自作の学習冊子も活用しています。
 冊子の半分は家庭学習用で、事前に課題を出し、授業中はその課題の内容をもとに知識を定着させる構成です。空欄を埋めながら進める形式にすることで、生徒の能動的な理解を促しています。

放課後はPC教室での課外活動も行っており、PowerPointを使った動画・CM制作、ホームページ作成、総合型選抜に向けてのスライド準備や発表練習などを行うことができます。また、情報科教員が常駐し、質問や相談にすぐ対応できる体制も整えています。

情報科の教員として大事なことは「苦手意識をなくしてもらう」ことだと思います。そのところが一番最初のスタート地点だと思っています。

情報に限らず、苦手な意識があるとその部分が伸びていかなくなってしまうので、まずは苦手意識を無くして、色々なことに興味を持って、楽しんで取り組む中で、色々な力を身につけていってほしいと考えています。

手書きのデザインとCopilotを用いて作成した校内イルミネーション。
校章をモチーフに聖園女学院の創立年と「信仰・希望・愛」がデザインされている。

最後に今後の展望について教えてください。

今後は、生成AIの活用を情報科だけでなく他教科にも広げることを目指しています。

また、ゲーム制作やアプリ開発をさらに発展させるほか、学校に導入された3Dプリンターの活用にも取り組みたいと考えています。
  さらに、「Meta Quest 3s」を使用し、MR(複合現実)の体験や制作にも挑戦していく予定です。

 まずは先生自身が制作できるようになり、それを生徒に還元できる形をつくっていきたいと思います。

今回の取材を通して、聖園女学院中学校・高等学校では各教科でICT活用が進んでいること、特に英語科では多様なツールを活用して、英語を身に付け、活用できる機会をしっかりと確保していることが分かりました。
情報科では情報科の柴田先生を中心に、教員・生徒がICTを活用しやすい環境づくりが進んでいることも印象的でした。
先生自身が新しい技術を積極的に学び、生徒とともに成長する姿勢が、学校全体に良い影響を与えていると感じました。
聖園女学院中学校・高等学校のように、「ICTを楽しく学ぶ」学校がさらに広がっていくことを期待しています。

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