前回ご紹介した株式会社ウィル・シードの「WOZED(ウォズエド)プログラム」の学校導入事例をご紹介します。
① 通信制A高校(通学コース) 「WOZED」×「社会課題解決型探究学習」
通信制A高校(通学コース)では、生成AIや技術への興味を最大化することを目的に2023年度より週1回2コマの授業で導入されました。生命科学コースと総合コースの受講希望者を対象に、各クラス20名前後で実施しています。
学校様からは実施コンテンツが幅広くあるため、どのコンテンツもいろいろ体験しながら実施したいという声があり、「Cording」「AI」「AR/VR」「Data Science」の中から組み合わせたコンテンツを行いました。新しい知識をしっかりとインプットするとともに、「社会課題解決型探究学習」のテーマに沿った学習を行うために、それぞれのコースに合った内容でプロジェクトを行い、発表するという形に授業を構成しました。
「Data Science」ではアメリカの気象情報サイトにアクセスをして、過去にアメリカで発生した異常気象について調べ、出てきたデータを自分たちでまとめました。気象データを特定の場所や時刻から分析し、グループで発表するトピックにあわせて必要なデータを抽出、グラフとして可視化する方法を学びました。
また、学校の所在地である「新宿区をより良くするために自分たちにできることは何か?」をテーマに、課題解決型AIロボットを作成しました。「自分たちがどういったロボットを考えることができるか?」「ロボットと人間が協働をして何かを解決することはできるか?」と考える中で、人間が得意とする分野とAIが得意とする分野には、それぞれどのような要素があるかについて意見を出し合い、課題の解決策を探究していきました。
自分たちで課題を考える中では、フィールドワークやインタビュー、アンケートを実施し、実際に困っている人は他にどれほどいるのか、それらは解決できそうな問題なのか、一つ一つ精査しながら取り組みたい課題を一つに絞り、課題解決をするためにどのようにAIを利用するのか方針を立てました。
ロボット制作の他には、リサーチを行ってデータを収集するなど、説得力のあるプレゼンテーションを行うための準備をします。AIロボット制作ではAIやロボットに関連する企業からゲストを招いて、途中経過へフィードバックの機会をもらい、改善を繰り返しながら、最終的に自分たちが考案したAIロボットをクラスで発表しました。
また、全国の分校から出場する校内探究発表会や、外部の探究コンテストに出場するなどもしました。
② B学園 「WOZED」×「生命知、身体知、人工知能」
B学園では、「WOZED」と「生命知、身体知、人工知能」というテーマで授業を行いました。中学1年生から高校3年生という幅広い年齢の受講希望者がおり、クラス人数は約20名ほどでした。
校内で実施している探究ラボ(テーマラボ)という生徒一人ひとりの興味関心と幅を広めるための時間の中の、1つのコースとして導入しました。週2回2コマの授業を全12コマ行い、「Cording」と「AI」をそれぞれ6コマずつ、実施しました。
AIの授業では、「デジタルを通した自己表現の方法を探る」というテーマを取り扱いました。グループワークはすべて学年混合で行い、グループ内で起こり得るコミュニケーションの課題、例えば「先輩に遠慮してしまい、意見が出しづらい」や、「後輩にはもう少しわかりやすく話をしなければいけない」を解決し、生徒間のコミュニケーションをより良くするためのAIロボットを考えました。
ロボットを考える上では実存するロボットを例に出し、人間と共存するロボットの特徴を探究しました。このような探究をヒントに、学校にどのようなロボットがいるとコミュニケーションがより良好になるかをグループワークでディスカッションしながら、Cubeletsでロボットを作り、発表しました。
Cordingの授業では、「Sphero Mini」を使ってコーディングを行い、「学校生活」を表現するダンスを作ることにも挑戦しました。Sphero Miniは、色や動きで表現することができるロボットなので、「楽しいことを表す色ってどんな色だろう」「困ったことを表現する色ってどんな色で、どんな動きがあれば困っているように見えるかな」などのように、疑問を出し合いながら表現方法を考えていきました。
発表では、音楽に合わせてコーディングをしたSphero Miniを動かしました。即興でギター演奏をした生徒もいて、教室が盛り上がったのが印象的でした。自分自身で感情を表現するのではなくて、あえてデジタルを通して表現をするとどのような効果があるかということも探究しながら授業を行いました。
③ C学園中学校 「WOZED」×「チームビルディング」
C学園中学校では、「WOZED」と「チームビルディング」を学校のSTEAM教育の一環として導入されました。中学1年生から3年生が学年ごと(約160名ずつ)に課外活動として参加し、夏休みや春休みを使用して1コマ110分で「Cording」の授業をしました。
各学年2クラスずつの合同クラスでグループワークを行うため、普段あまり関わりのないクラスの生徒と一緒にグループを組むので、最初はぎこちない会話なのですが、ワークが進むにつれて会話の量も増え、様々なアイデアが飛び交うようになっていきました。
「Sphero Mini」にコーディングを行って「C学園中学校×未来」というテーマでダンス表現することを最終ゴールとして取り組みました。グループの独自性が発揮できるようにコンセプトやストーリー設計などについても細かくディスカッションをして、面白いダンスをたくさん発表してくれました。音楽に合わせてSphero Miniと一緒にダンスを披露してくれたグループもありました。
受講後のコメントからは、協働する体験を通してチームビルディングを促進することのよさや、正解のない問いに対して、正しい方向を見出していく思考力を身につけることが出来たという声が多くありました。試行錯誤の中でコーディングを行うことで、生徒それぞれで実感した気づきや、自分の得意分野を今後の学校生活に活かしていける内容になりました。
④ D教育委員会 「WOZED」×「仕事」
D教育委員会 では「WOZED」と「仕事」をテーマにプログラムを行いました。自治体の工科系高校15校の1年生から3年生の受講希望者22名が夏休み期間の8日間の課外授業として参加しました。
ものづくりや先進的な技術に高い意欲や志がある生徒の皆さんを募って、先端的な学習を行うという内容で、工科高校に通っているため、既にデジタルに関する知識や技術力がある生徒たちですが、さらに高度な知識や技術、また移り変わりの激しい時代に必須となる「工学的な思考力」を持った未来のスペシャリストを育成することがこのプログラムの目的となっています。
このプログラムでは「Sphero Mini」を使った「Cording」の授業と、ブロック型のロボット「Cubelets」を使った「AI」の授業を行いました。ディスカッションを行い、地域の課題を見つけ、AIロボットを使って解決することを目標に、学校間の垣根を越えて共同を行いながら、グループでプロトタイプ・ロボットを作成し、最後に発表しました。
Cubeletsに少ない情報しか与えられない中、どんどん手を動かしながら試行錯誤を繰り返して機械の仕組みを理解していく理解力、新しいものについて積極的に調べ自ら習得していく探究心など、デジタルネイティブかつ工科高校生の長所が発揮されていました。
またプログラムの中では、生徒の進路を決める上で、好奇心や意欲をさらに向上させるために、国内外で活躍する技術者の皆さんにもゲストとして登壇いただき、講演会や座談会を行ったりもしました。 各自の気づきと学びを共有することで、参加者全員で仕事や社会について探究していきます。ゲストのキャリアを深掘りするだけでなく、同世代からの刺激も受けることで、より視野を拡げ、自分の好奇心を再発見する時間となりました。
このように「WOZED」は学校様の目的やカリキュラム構成に合わせてプログラムを作成することができます。是非貴校のデジタル学習や探究学習に活用してもらえると嬉しいです。
コアネット教育総合研究所では株式会社ウィルシードと協力し、「WOZEDプログラム」をDXハイスクール向けに再構成したものを、学校の要望・予算に合わせてご提案しております。
DXハイスクールも第2期を迎え、DX環境を活用した新たな学びを構築する段階となっています。このプログラムは教職員の皆様への研修を含めた内容となっており、プログラム終了後もこのプログラムで得られた知見を学校内で活用していけるような内容となっております。
DXハイスクール指定校の学校様はもちろん、DXハイスクール指定校ではない学校様にもご導入いただけます。ぜひ、お問い合わせください。