今回は辞書教材サービスを提供されているシャープさんから、辞書アプリ&Webサービス「Brain+(ブレーンプラス)」の開発経緯や機能についてお話を伺いました。
「Brain+(ブレーンプラス)」とは
「Brain+(ブレーンプラス)」は高校生を中心に広く支持されている「ジーニアス英和辞典」など、人気の辞書が掲載された新しい辞書アプリ&Webサービスです。タブレット、パソコン、スマホのどの端末からもアクセス可能で、わからない単語を国語・英語などの複数の辞書で検索できる「横断検索機能」や、様々な英文テキストの単語を簡単に検索することができる「読解アシスト機能」を搭載しています。
インタビュー
―Brain+(ブレーンプラス)を開発された経緯について教えてください。
シャープは「Brain(ブレーン)」という電子辞書開発に取り組んでいますが、それ以前の初期の電子辞書を含めると既に40年以上電子辞書に関わっています。
現在、電子辞書は中学・高校生が利用の中心ですが、10年ほど前から生徒1人1台端末の環境を整える学校が出始め、タブレットPCなどの端末上で動く生徒向けの辞書アプリのニーズも高まってくると考えました。
辞書アプリに関しては、このような経緯をふまえて開発を始めたのがきっかけです。
開発当初は端末自体導入している学校が少なく、アプリを導入頂いたのは一部の私立中高一貫校でしたが、ICT先進校に使っていただきながら、学校の先生から意見をいただいて作り込んできました。
その後、GIGAスクール構想の中で端末の導入校も急増し、ここ数年でかなり事業として広がってきました。今後も利用していただける方が増えていくと予想しています。
―他の辞書サービスとの違いや強みを教えてください。
Brain+(ブレーンプラス)は辞書等のコンテンツホルダー様のおかげで成り立っていると思っています。結局は中身が重要で、出版社が監修した信頼あるコンテンツを収録することが重要だと考えています。
また、ここ1~2年で様々な端末が学校に導入され、異なるOSを利用される学校が増えています。Windowsはもちろん、Chromebook、iPadでも使えて、スマホでもマルチに使えることが必須の機能だと考えて、開発を進めました。
辞書サービスは各社様から様々な商品が提供されていますが、Brain+(ブレーンプラス)はアプリ版とWeb版の両方を利用できることが特長です。アプリ版はオフラインでも利用できて、卒業後も利用可能です。
―辞書のラインナップや辞書数などは今後拡充されていきますでしょうか?
コンテンツの拡充については国語・外国語・地理歴史・公民・数学・理科と最近入ってきた情報を加えた「7教科」の充実を図っていきたいと思います。
特に学習指導要領が変わると、教科の中身(科目)にも変化がある場合があります。社会を例に挙げると、「公共」が新設され必修科目になっています。
学習指導要領に合わせたコンテンツを収録していくとともに、学習指導要領でも重要視されている探究など従来の教科を越えた学習にも、辞書や事典は有用であり、対応を進めていきたいと考えています。
―学校によって、製本された辞書や電子辞書を使用されているところがあると思うのですが、辞書アプリを導入するメリットはどのような点がありますか。
製本版の辞書との違いとして、知りたい単語を入力するだけで、全ての辞書を一括で検索できる良さがあります。また、Webサイトはもちろん、教科書から授業のプリントまでテキストのデジタル化が進む中で、テキスト内の知りたい単語を選択してコピーするだけで辞書がひける機能も搭載しました。電子辞書だと「take」などとスペルを打つことになるのですが、1台の端末上で辞書も含めて様々なツールやデータが連携して利用できる環境が整いつつあり、それを活かした利用方法を提供しています。
更に「読解アシスト」という機能も開発しました。例えば英語のテキストを全部コピーし、全ての単語を瞬時に調べることができます。今後も技術発展により、より便利で、より学習に適した機能を提供していきますし、それがメリットになると考えています。
―正確な情報に触れられることもメリットですね。
端末利用が当たりまえになると「辞書はネット検索で十分」というお声もいただくようになり、辞書が必要ないのではないかという考え方もあるように思います。
しかし、私たちは学習辞典には先人の知恵や工夫がたくさん入っていると考えています。例えば、英語で「はさみ」は「Scissors」ですが、学習辞書にはこれは単数形で使うものではなく、常に複数形で使うと説明が書いてある。ネット検索でも「Scissors」と出てくるとは思いますが、学習のヒントを与えてくれ、かつわかりやすく解説してくれるのが学習辞典の良さだと思います。
生成系AIなどの技術が一般的に利用されるようになりましたが、これからは玉石混交の情報の中で本当に正しいものは何なのかを見極めることが大切だと思います。このようなファクトチェックがこれから必要な資質能力になるのではないでしょうか。
先生がいない場面でも、その代わりになるような、正確な情報をすぐに引き出せる方法として辞書や事典があります。何でもインターネットを通じて調べられる時代だからこそ、自身で情報の真偽を確かめる術を持つことが重要です。1人1人がファクトチェックをしなければいけないので、生徒にそのやり方、学び方を知っていただくことが大切だと考えています。
―最後にこれからの展望についてお聞かせください。
クラウドやAIなどの技術を積極的に取り入れていこうと思っています。
「読解アシスト」はここ数年の取り組みですが、学習辞典の良さを如何に引き出せるか、例えば、辞書を使いながら読解力を身につける機能などを更に充実させていこうと考えています。
―ありがとうございました。
取材後記
ICT端末の普及により、端末に入れることができる学習辞典アプリを導入する学校が増えています。
辞書アプリは荷物の軽量化や利便性の向上、費用負担の軽減などのメリットがあります。
今回のお話から、たくさんの情報を処理し、AIとの共存も求められる社会の中で、情報を見極め、活用していくための大切な拠り所になるという点で、学習辞典の価値を改めて感じることができました。
様々な情報が飛び交う中、確かな情報をつかんでいく手段として、先人の知恵が詰まった学習辞典を活用していくことが今後ますます重要になってくるかもしれません。
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