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授業アンケートは、授業を通して身につけさせたい力・スキルを、生徒がどれだけ習得したかをはかる“効果測定ツール”であるべし!
授業アンケートは振り返りが重要!
教員個人に任せきりにしないで、組織的な改善活動を
今や多くの学校が実施している授業アンケート。先生方にとっても身近なものではないでしょうか。
ところで、授業アンケートを行う意味・目的はどのようなものだと認識されていますか。
ご自身の授業の改善に役立つもの?
教科として授業内容・方法を振り返るためのもの?
結果に基づいて授業担当を割り振り、査定を決める判断材料?
“授業アンケートの活用次第では、先生の意識改革や授業スキルのアップだけに留まらず、学校改革という大きなテーマも解決してくれるかもしれない“
これが、私、コアネット川畑の授業アンケートに対する主張です。
学校評価の必要性が強く言われるようになった昨今、授業アンケートを採用している学校はとても多いでしょう。ですが、ただやっているだけでは、授業アンケートの活用は不十分です。
先生方が生徒さんに「テストは振り返りが大事!」とおっしゃっているのと同様に、授業アンケートもいかに振り返りをするか、しかも、それをどう組織的に行うかが重要です。
往々にして、授業という領域は、各教科・個々の教員の力量に頼りがちです。管理職として、授業をマネジメントすることは必要だと思っていても、他の教科の担当者へは口出しがにくい部分もあるかもしれません。しかし、私学として授業料をもらっている以上、授業の質をそろえ、担保することは、重要なことではないでしょうか。
授業を通して身につけさせたい力を反映させた アンケート項目設計
授業アンケートを効果的に活用し、組織的に授業の質を高めていくための工夫の1つとして、アンケート項目の見直しをお勧めします。
私が実際に、授業アンケートの設計・実施・振り返り研修の支援を担当させていただいたA校の例をお話しましょう。
A校は、伝統のあるミッション校。先生方もどちらかというと保守的な方が多い学校でした。授業アンケートの導入をと考えた管理職の先生からご依頼を受け、支援に携わったのですが、当初は、授業アンケートの目的を「人事評価だ」と誤解される先生方が多く、先生方は正直乗り気ではなさそうでした。
そこで私たちが提案したのは、アンケート項目を先生方自身に設計してもらうことでした。A校としてめざすべき授業像を決め、各教科で育成したい力を話し合ってもらい、そこで出てきた項目を、授業アンケートに盛り込んだのです。
先生方自らが決めた「めざす授業像」「育成したい力」をアンケートに組み込むことで、現場の先生方の声を反映させた「聞いてみたい項目が聞けるアンケート」、すなわち授業の効果検証ツールになりました。その結果、先生方の授業アンケートに対する捉え方も前向きになり、今では「結果はいつ届くんですか」という声が上がるほどになったそうです。
授業アンケートの項目を教員全員で考えることで、めざすべき授業のあり方を共有化できると、それは学校の進むべき方向性の共有にもつながります。冒頭で私が述べた「授業アンケートが学校改革につながる」というのは、こういうことなのです。
生徒・同僚教員・教員自身 三者の評価を客観的に検証
授業アンケートでもう1つ大切なのは、複数の立場からの評価です。
生徒からの授業アンケートを実施することは、授業を受けている顧客の声を聞く意味で重要ですが、ややもすると「人気投票」になってしまう可能性があります。生徒にとっての「良い授業」が本当に良い授業かどうか。それを客観的に判断するためにも、教員自身の自己評価や、管理職を含む同僚教員による評価など、3つの立場からの評価を行い、授業を見直すことがよいでしょう。
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