1926年(昭和元年)堀之内妙法寺30世 岡田日帰上人により「五重塔を建てるよりも、学校をつくって人間の塔を建てよう」という誓願と決意をもとに設立。2002年より男女共学化。中高一貫校のコースと、高校からのスタンダードコース、アドバンストコースの3コース制。
学校長 澤田 幸雄先生
今回は、2018年度に生徒1人1台のタブレット導入(BYOD)を実現し、e ラーニング、e ポートフォリオなど積極的な活用を進めている東京立正中学校・高等学校の学校長 澤田 幸雄先生にお話を伺いました。
2018年4月より、1人1台のタブレットの本格導入を開始した東京立正中学校・高等学校。各社のタブレットを比較検討し、キーボード付で様々なシステムがスムーズに利用でき、大学生・社会人になっても利用する可能性が高いWindowsタブレットを導入しています。
本校では、eラーニング(個別学習用教材やオンライン英会話など)授業を家庭学習で積極的に活用し、各科目の基礎学力や英語4技能の向上を図っています。また、「Japan e-Portpholio」や学習支援プラットフォームにて、学習履歴・成績状況をデータベース化し、生徒指導に活用しています。ICT導入において重要なことは「教育ICTビジョン作成」と「導入初期に留意した導入計画策定」と考えています。
本校の教育ICTビジョンは、建学の理念や学園ミッションをふまえた「21世紀型スキル」を設定し、そのスキルを身につけるためのICT活用方法を検討する、という手順で作成しています。
ポイントは、目指す教育や生徒に身につけさせたい力を明確化することによって、はじめて学校に合ったICT活用方法の選択が可能になるということです。
また、ICT教育ビジョンを学校内外へ発信することで、生徒・保護者や教職員の理解を深め、ICT教育への期待感を高めていきました。
ICT導入計画のポイントは、導入初期におけるICT活用主体を「生徒」にしたことです。
教員がICT機器を活用した授業を行うためには長い準備期間が必要です。また、教員間でスキルや意識にも差があり、ICT活用型授業を足並みを揃えて実施することは困難であると予想されました。
そこで、導入初期は「eラーニング」や「学習履歴の入力」など生徒が主体となってICTを利用し、その後徐々に教員による活用場面を増やすという計画を策定したことで、授業内での混乱を避け、スムーズな導入が実現しています。
中学校では、全学年の英語・数学の授業、補習でeラーニングが活用されており、高校では、英語・数学・国語で基礎的な内容を反転授業・宿題で利用する他、大学受験向けのハイレベルな内容を生徒のレベルに応じて個別学習で使用するなどしています。
生徒のeラーニング実施状況は教員が常にチェックできるようになっており、成績状況の確認はもちろん、反転授業の内容を確認していない、または宿題をやっていないなどの生徒に対して、提出期限前に注意喚起をしているとのことです。
また、中学生は授業内で週1回25分程度オンライン英会話を実施しています。ネイティブとの英会話によって「話す・聞く」力を養います。
eラーニングによって、生徒が自分のペースで楽しみながら学習に取り組めている様子がみられますし、教員も生徒管理がやりやすくなっており、学力向上への手ごたえを感じているとのことです。
2014年から導入している学習支援プラットフォームでは、生徒の生活の様子、成績状況、進路希望、指導履歴の情報を「ポートフォリオ」として教員が記録し、一括管理しています。模試の成績状況と、このポートフォリオを参照しながら学年・コースの指導計画や指導結果分析を行っています。また、「Japan e-Portpholio」にて、生徒自身による学習履歴の蓄積をはじめたところなので、今後は教員と生徒で定期的に活動の振り返りを行うサイクルを構築し、新たな大学入学制度に対応していきます。
学校内外の様々な活動を記録し、その振り返りを実施することで、21世紀型スキルの習得など、教育効果を高めていきたいです。