AIリテラシー

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AIリテラシー

コアネット教育総合研究所
新教育推進室 川田脩平

要約

AIリテラシーとは、生成AIに関する基礎知識と適切な活用能力を指します。教育現場ではAIの理解と批判的検証が重要です。文部科学省は情報活用能力育成の新カリキュラムを検討しており、教員・生徒ともにAIの仕組みや限界を理解する必要があります。適切な利用には倫理・プライバシー配慮と継続的な学習・情報収集が必要です。

AIリテラシーとは

AIリテラシーとは、生成AI分野においては正しい生成AIに関する基礎知識と、生成AIを適切に利用できる能力を指します。文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」にも記載があり、生成 AI の効果的な利活用を実現するためにも、一定の水準が求められるとされています。

 

生成AIの教育利用

生成AIは既存情報を大量に学習し、高い有用性のある出力を行う一方、ハルシネーション(誤情報生成)や学習過程でのバイアス再生産といったリスクを完全に排除することが難しい現状です。業務効率化をはじめとして様々な場面での活用が想定されますが、教育現場での活用においては、教員・生徒問わずAIの利点を活かしつつ、出力結果を批判的に検証することが重要になります。あくまでも人間の判断を補助・拡張する道具であり、利用者本人の情報活用能力がこれまで以上に重要視されます。

情報活用能力の必要性

文部科学省では、総合的な学びを中核に据えながら、小・中学校で情報活用能力を段階的に育成する新カリキュラムを検討しています。小学校(中・高学年)では情報セキュリティの基礎やクラウド共同編集、生成AI体験を通じて「情報技術の活用」「適切な取扱い」「特性の理解」の土台を築き、中学校では技術・家庭科を分離して「新・技術分野(仮称)」を創設します。ここでは情報処理の仕組みやコンピュータ構成、生成AIの原理理解に加え、日常の課題解決を目指すプログラム制作を盛り込み、次段階の高校の情報科へとつなげるとしています。

求められる資質

今後の教育においては生成AIをはじめとするテクノロジーを正しく利用することができることが求められ、生徒に教える教員にも同様のことが求められるようになります。最低限生成AIの仕組みとその出力の限界を知ることは必須となり、正しく理解するために実際に触れてみる必要性があります。この知識と経験を基にAIを正しく理解し適切に運用できる力が現状のAIリテラシーといえます。

適切なAI利用

AIの適切な利用に関しては技術の進歩とともに変化する可能性がありますが、現時点においては、プロンプト設計をはじめとする利用のための技術をもって、プライバシーや倫理的な配慮を心がけて利用することになります。生成AIは登場からの2年の間でも劇的な進歩をしており、登場当初と比較すると曖昧な指示でも望みに近いアウトプットを得られることもあるようになりましたが、より正確に近いアウトプットを求めるならば明確かつ具体的な指示が必要です。ここで意図を適切に伝えることでAIの精度が向上し、出力された結果を検証する際の手間の軽減にもつながります。多くの生成AIで出典に関する情報の明示などがされるようにはなっていますが、生成された情報を鵜呑みにせず、出典確認や人間による検証を行う姿勢も重要です。誤答やフェイク情報が混入し得るため、事実確認、実装前の動作確認などを欠かさないようにしましょう。倫理的な配慮は、個人情報や機密データをAIに投入しない、偏見を助長しないプロンプト運用を心がけることで、プライバシー保護と公平性の担保がされます。

最後に、AIは急速に進化する技術であるため、継続的な学習と情報収集が欠かせません。最新モデルの動向や活用事例を追うことで、自身のスキルをアップデートし、多様なシーンで適切にAIを使いこなせるようになります。以上の要素を意識することで、AIリテラシーを高め、安全かつ効果的なAI利用が可能になります。

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(2025年7月)