はじめに
「アクティブ・ラーニング」という言葉、教育現場にかなり浸透してきていると思います。「アクティブ・ラーニング」と聞いて全くイメージがわかない人はいないと思いますし、その効果や良さも多くの人が知るところとなってきているのではないでしょうか。でも、知ることと、取り入れることはまた別のお話。実際自分の授業でやろうとすると、あれ、どうすればいいんだっけ、ということも多いのではないでしょうか。
<例>
・話し合いをさせるというけど、具体的にどんな風に何を話させたらいいのだろう
・授業自体は盛り上がる気がするけど、生徒の学力は伸びるのだろうか
・授業外の学習も含め、授業全体の設計をどのようにすればよいのだろう
・教えすぎないように意識をしているが、じゃあ教えない関わり方って何だ
・評価をどのようにすればいいのだろう
講座で扱う3つのテーマ
アクティブラーニング実践講座(ベーシック)では、アクティブラーニングについて、実践的知識、授業デザイン、授業ファシリテーションの3つのフェーズで学んでいただきます。
<実践的知識>
・アクティブラーニングが求められる背景について知り,理解する
・アクティブラーニング型授業をすすめるための実践知識を身につける
-なぜ今アクティブラーニングか
-学力定着にアクティブラーニングは有効か
-アクティブラーニングの実践的知識
<授業デザイン>
・アクティブラーニング型授業の実践手法について知り,自らの授業に応用する
・演習を通じて,AL型授業をデザインする方法を身につける
-アクティブラーニング型授業の構成要素
-授業デザインの方法
-普段行っている授業の再デザイン
<授業ファシリテーション>
・授業ファシリテーターの役割と姿勢を理解・実践する
・生徒の気づきを促進させるプロセス、手法を身につける
-授業ファシリテーションとは何か
-安心、安全な場をつくる方法とは
-生徒の気づきを促し、思考を深める関わりとは
講座の進め方は、演習を交えた実践的なものとなります。
授業デザインでは同じ教科の先生方で議論していただく時間も設けております。
「アクティブに学ぶ」のがこの講座の特徴です
この講座の特徴は、単に知識を得るだけでなく、それを授業で使うためにどうすれば良いのか考え、実践する場があることです。まず、アクティブラーニングの概要を知ることで、アクティブラーニングを導入する意味や効果について考えていただきます。次に、ご自身の授業の一部をアクティブラーニング型に再デザインしていただきます。授業デザインに必要な枠組みや知識は、講座内でお知らせいたします。そして、デザインした授業を効果的に実践するためには、どのような関わり方が効果的なのかを学び、ロールプレイをしていただきます。この演習の柱となっているのが、「授業ファシリテーション」という手法です。ファシリテーションとは、グループ全体、またその中での議論を促進し、観察し、必要な援助を行う、いわば場のサポータ役としての機能です。授業においてこのファシリテーションがどう機能していくのか、演習を通して考えていただければと思います。このように、理解→実践→体得のプロセスを取ることで、学校現場に戻り、一歩を踏み出していただきやすくしよう、というのが、本講座の狙いです。さらに講座終了後、アクティブラーニング実践を共有する場をつくり、参加される先生どうしがお互いにサポートできるよう、私たちも支援していきたいと考えています。
講師プロフィールとメッセージ
講座監修・概論・授業デザイン講師
山田 剛史氏 京都大学高等教育研究開発推進センター准教授/博士(学術)
「教師に代わり、学習者が主体となる、というのが、アクティブラーニングの基本的な考え方です。学習者である生徒の状況は様々ですから、アクティブラーニング型授業にも正解は無いことになります。本講座ではアクティブラーニングの基本的な考え方、授業デザインの仕方をお伝えしますので、それらが先生方の現場にどう生かせるか、実践をしながら考えていただければと思います。」
「大学生の学びと成長を促す教育・学習環境のデザインと評価」をメインテーマとし、教育の質保証やアセスメント、カリキュラムや授業のデザイン、FDやアクティブラーニングを含む教授法等に関する研究・開発・養成を行っている。近年では、高大接続への関心の高まりから、中学・高校におけるアクティブラーニングの導入に向けた指導法等に関する講演・研修、指導・助言を行っている。
授業ファシリテーション・ワーク講師
小野 義直氏 イノベーションファシリテーター 株式会社アンド 代表取締役
「「ファシリテーション」という言葉に耳慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、私自身のファシリテーターとしての経験、学校現場での生徒との関わりを通して、ファシリテーションがアクティブラーニング型授業の運営に必要なスキルだと実感しています。講座では授業ファシリテーションの基本、姿勢を学んでいただきたいです。」
小売・サービス業を中心に構造設計からコミュニケーション戦略構築までこれまでに1000 社以上を支援する。中でも近年はプロジェクトリーダー育成と組織開発に注力。企業の人材育成で培ったノウハウを活かし、2014 年度から高校での探究学習導入プロジェクトの全体設計にも従事。