教育ICT学校事例レポート(3)聖徳学園中学校・高等学校

  • 先生方の工夫が生徒の学びを刺激する

    「アクティブラーニング×ICT」公開授業見学体験記

     

    聖徳太子の「和」の教えのもと、個性・創造性・国際性の育成を教育目標とする同校。21世紀スキルの育成のため、全HR教室に電子黒板を導入し、2年前より一人一台タブレット化を進めています。2014年には、日本教育工学協会(JAET)の学校情報化優良校にも指定され、積極的にICTを活用した教育に取り組んできました。

    今回は、本年6月11日に行われた公開授業を見学しました。先生方の創意に富んだ授業の模様をお伝えします。

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    6月11日に行われた公開授業見学会では、中1から高3までの全34教室で一斉に「アクティブラーニング×ICT」をテーマとした授業が行われました。今回は、その中から3つの授業についてお伝えします。

     

    ☆中学2年国語:久保圭司先生

    現代文『五重の塔はなぜ倒れないか』を素材に、グループ活動をしながら文章の構成や筆者の主張を読み解く授業でした。キーワードを探し、本文を4つのパートに分け、文章構造を理解します。タブレットを使い、「ロイロノートスクール」上に班の意見をまとめ発表。各班の回答をタブレット上で集約し一望できるので、他人の意見もスムーズに把握できます。

    終了後には、しっかりと振り返りシートに学びの成果を記入。ロイロノートを使うことで、配布・回収・共有がスムーズに行えると共に、紙で印刷するなどの手間が省けるなど、校務負担軽減にも効果的と感じられました。

     

    ☆中学2年音楽:亀田裕康先生

    合唱曲「心の中にきらめいて」をグループに分かれて練習しました。事前にタブレット経由で楽譜を配布し、練習すべき箇所をディスプレイ上で書き込みます。グループごとに指揮者を置き、重点的に練習したいところを選び、どのように表現するか話し合いながら歌います。指揮者ごとに異なる表現方法をとるので、感性の多様性に気付かせるような授業構成も興味深く感じました。

    授業の最後には、産業能率大・小林昭文教授のメソッドを参考にした振り返りを実施。授業における学びを自分の言葉で表現する訓練を積みます。他の教科でも応用できる取り組みですね。

     

    ☆高校2年生物:江草清和先生

    生物多様性と生態系について、教科書の章をグループで分担し、相互に説明しあう授業の一回目でした。アクティブラーニングにおいて「教え合い」は代表的な手法ですが、タブレットを活用し、要点を短くまとめた説明動画を作って発表するのが特色です。動画制作には、班の中でシナリオ作り、絵コンテ作成、カメラマン、ディレクターなど役割を置いて、協同学習を促します。オリジナリティあふれる動画の完成が楽しみですね。

    作品として動画が残っていくというのも、生徒の達成感を高める仕掛けとして、効果的だと感じました。

     

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    <聖徳学園のICT使用風景>

    iPadを「文具」として位置づけ、保護者の方々が購入し、生徒に貸与する「BYOD」という形で導入しています。全ての授業でiPadを活用。電子黒板と連動させ、双方向の教材配信を行いながら、授業を効率的に進めます。

     

    いかがでしたか。従前どおり紙を使った方がいい場面と、ICTを使い効率的に行う場面をうまく選択しつつ、学びを深めていたのが印象的でした。今後タブレットの導入を更に進める中で、どのような授業を行っていくか、期待が高まりますね。

    (2016年6月11日取材 見学者:コアネット教育総合研究所・荻原)

     


    ◆Tips

    ・日本教育工学協会(JAET):教員・研究者・企業による、教育工学に関する研究活動の交流・協力と情報交換ならびに成果の普及を目的とした団体。研究活動や成果普及活動のほか、2014年より、「学校情報化チェックリスト」を作成して学校の情報化度合いを判定し、優れた取組みを行う学校や地域の認定、表彰を行っている。

    ・産業能率大学 小林昭文 経営学部教授:リーダーシップ、ロジカルシンキング、アクティブラーニング手法等が専門。埼玉公立高校での教師時代に、AL型授業が難しいと言われる物理の授業改革も行った。著書、論文多数。

    ・BYOD(Bring Your Own Device):もともとはビジネス用語で、従業員が個人保有の携帯用機器を職場に持ち込み、それを業務に使用すること。ここでは、タブレット機器を学校が購入し生徒に貸与するのではなく、生徒や保護者が購入したタブレットを教育現場に持ち込んで使うことを表している。

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