鷗友学園女子中学校の場合

鷗友学園女子中学校大井正智校長先生へコアネット教育総合研究所 福本雅俊がインタビューしました。

■貴校には過去3回の校風調査に全回お申込みいただき、結果を活用していただきました。ありがとうございます。

大井先生 私は今年から校長に就任しましたが、2014年の校風調査の結果をコアネットさんに報告いただいたときのことは、よく覚えています。
  2004年や2009年の調査時に比べて、本校の認知度、つまり「鷗友学園という学校を知っている」と回答してくれた受験生保護者が増えているということ。そして、本校に対するイメージ項目の中では、「学習面」や「進路指導面」のイメージが伸びていることを、報告いただきました。中学受験マーケットから一定の評価を得ていることがわかり、嬉しかったですね。
  しかし、反面、私たちが抱えていた問題意識も、はっきりと結果に表れてしまいました。それは、「鷗友学園を一言で表すとこれ、という特長がない」ということです。
 校風調査に申し込むと、自校のイメージに ついての詳細報告に加え、他の学校さんとの イメージ比較もしてもらえますよね。他校さんのイメージグラフを拝見して、「本校もどこか突出したイメージを持たれる分野をつくったほうがよいのではないか」との考えを私も持ちましたし、他の教員からも、そのような声が上がってきました。

コアネット福本 例えば、2014年調査における女子の御三家の評価を挙げると、学習・進学のイメージはもちろん共通して強く持たれていますが、桜蔭であれば「理数系教育」、女子学院は「明るい生徒が多い」、雙葉は「礼儀正しい」「家柄が良い」の評価が突出しています。各校の特色が、持たれているイメージにも色濃く出ているというわけです。
 しかし、残念ながら、鷗友学園の場合は、 「グローバル教育」「理数系教育」など、特長となりうる項目についてのイメージ評価が前回調査からは上昇しているものの、他校に比べて突出するほどの評価までは得られていない、という状況でした。

大井先生 そうなんです。本校のスタンスは、 生徒たちの未来につながる良質のサービスを提供する、というものですから、生徒たちが社会に出たときに必要となる力を育てるため、「グローバル教育」も「理数系教育」も、そして近年では「ICT教育」の取り組みも行っています。ただ、そのために何か特別なプログラムを追加するというよりは、普段の学校生活や授業の中に取り入れ、必要な力を育てていくのが、本校のやり方です。そうすると、どれかの分野の取り組みで大きな花火を打ち上げて尖ることには繋がりづらい。特長を持つことの必要性については、だいぶ思い悩みました。    
  また、「進学実績」や「勉強」のイメージが上昇することにより、「生徒の明るさ」や「行事の盛んさ」など、活力ある学校のイメージが薄れていることも、気がかりでした。実際に入学してきた中学1年生と話すと「もっとおとなしい人が多い学校だと思っていたけれど、意外と明るく元気だった」という声が多く聞かれるのです。これはいけないと思い、学校説明会の開始前に運動会の様子の動画を流すようにしました。行事の場面を通して、元気な生徒の様子や教員と生徒の距離の近さを感じてもらいたいという狙いです。

コアネット福本 確かに、学習・進学のイメージが強くなればなるほど、活力系のイメージ項目の評価が出にくくなる、というのは、他校の結果でも見られる傾向です。ですが、何度も貴校にお伺いし、生徒さんの様子や先生方の様子を拝見している私どもからすると、鷗友の生徒さんは自己肯定感が高く、積極的で活動的だと認識していました。入学生から「おとなしい学校」と思われていたというのは、意外ですね。

大井先生 本校の卒業生たちは皆、「学校が好きだ」と言ってくれます。大学時代の友人も大事だけれど、中高時代の友人は格別だ、とも。これは、卒業したての大学生世代から、おばあちゃん世代になった卒業生まで、幅広く共通している意見です。それだけ濃く充実した時間をともに過ごした経験は大きいということなのでしょう。
 また、言葉にしてしまうと月並みな表現になってしまうのですが、人を思う優しさを持っている子が多いのも、生徒の特長だと感じています。相手の良さを伸ばすために自分はどうするか、を考えて行動できる生徒が多いです。
  それは、私たち教員に対しても感じます。こういう生徒の良さは、実際に学校に足を運んでもらわないと、どんなに説明をしてもなかなか伝わりづらい部分ですよね。説明会に来てもらうには、どうするか……。本校では全教員が担当を持って塾訪問も行っているのですが、もっと情報を発信していかないといけないですかね。

コアネット福本 塾訪問については、校風調査で分かる「地区別の認知度」が参考となるかもしれません。交通網もこの5年間で変わってきていますので、どのような結果が出るか、お待ちいただければと思います。

■最後に、4回目となる今回(2019年実施)の校風調査に期待することをお聞かせください。

大井先生  まずは、本校が今どのように見られているのかの現状確認ですね。前回比較はもちろん、10年前、15年前の調査からの変化も見てみたいです。
  これで今回も、どのイメージ項目でも特長が出ていないという結果であれば、「本校の特長は、特長がないこと。幕の内弁当みたいな学校です!」と割り切ってしまうのも一つの手かもしれません。ただし、どのおかずもご飯も一級品の高級幕の内弁当です!
  いずれにしても、分析結果の報告は、全教員の前でお願いしたいと考えています。若手もベテランも、それぞれの立場で本校の状況を再確認し、皆で学校の将来を考えていく貴重な資料としたいと思いますので、よろしくお願いします。

コアネット福本 ありがとうございました。
 知名度も人気も、一定水準以上に達している貴校ですら、常に変化を恐れず現実と向き合おうとされる姿勢をお持ちであるということに、改めて感服しました。今回の調査も、有効に活用いただけるように努めたいと思います。

 

取材協力

鷗友学園女子中学校
校長 大井正智先生

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コアネット教育総合研究所
横浜研究室 室長 福本雅俊

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