「ブレンデッド・ラーニング」とは

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ブレンデッド・ラーニング

コアネット教育総合研究所 副所長 川畑浩之

オンライン学習の拡がり

オンライン学習が急速な拡がりを見せています。文部科学省は「GIGAスクール構想」の前倒しを行い、2021年度からいよいよ公立小学校、中学校で生徒が1人1台のタブレット端末を持ち、ICTを活用した教育活動がスタートします。

このような状況のなか、「ブレンデッド・ラーニング」という概念を理解することで、ICTを生徒の学びにうまく活用するヒントが得られると考えます。

「ブレンデッド・ラーニング」とは

ブレンデッド・ラーニングのそもそもの意味は以下のように定義されています。
「正式な教育課程において、学習の少なくても一部をオンラインで実施し、時間、場所、方法または進行速度について生徒が自己管理し、学んでいく学習形態のことである。かつ少なくとも一部は自宅以外の監督された校舎において授業を受ける。コースまたは科目ごとの各生徒の学習は、組み合わされた一つの統合された学習体験となる」
(マイケル・B・ホーン+ヘザー・ステイカー 『ブレンデッド・ラーニングの衝撃』教育開発研究所2017年)

上記定義からおさえておきたいポイントは以下の3点です。

1.生徒の自己管理の学習であること
学習者である生徒自身が現在の学習状況を理解して、自らが「目標」を設定できること
大切な点は、生徒自身が学習方法を部分的にも選択できること

2.一部は自宅以外の監督された校舎で行うこと
教師がマネジメントをするカリキュラムにおいて、学習されることであり、正式なカリキュラムであること

3.統合された学習体験であること
学ぶための方法が、授業・講義、質問、eラーニング(オンライン学習)などの多様な方法を組み合わせて学習ができること
そのためには、生徒の学習状況が管理されていて、最適な学習方法を選択できる状況にあること

ブレンデッド・ラーニングの誤解

ブレンデッド・ラーニングについては、いろいろな誤解があります。最も多い誤解は、次のようなものです。

(事例1)
伝統的な授業とオンライン学習を組み合わせている(文字通りブレンドしている)ので、このスタイルはブレンデッド・ラーニングである。

この学習では、生徒自身が学習の方法を選択できているわけではありません。

(事例2)
放課後の時間に、数学の学習を「学習アプリ」を活用して学習をしている。

この学習では、生徒自身が意欲的であり、学習アプリを選択して学習をしているのですが、この学習が正式なカリキュラムとして行われていないため、ブレンデッド・ラーニングとは言えません。

「ブレンデッド・ラーニング」のモデル

英語や数学は、他教科に比べて学力の差が付きやすい教科です。そのため、多くの学校では習熟度別の授業クラスを編成しています。ただ、教室や教師の配置などの物理的な点で、あまり細かく編成することができません。
このような場合に、ブレンデッド・ラーニングを導入することは有効だと考えます。

一般的なスタイルは、授業とオンライン学習を組み合わせる形式です。オンラインの学習の機会が授業の予習であったり復習であったりするものです。また、苦手な分野克服のために繰り返して学習動画を視聴したり、さかのぼって学習をし直したりする機会をもつなど、授業時間以外での学習機会を生徒に促すこともあります。

とりわけ、予習としてオンライン学習を行う場合、「反転授業」と呼びます。反転授業を採用すると、教科内容の基礎・基本が授業前に既に学習されています。そのため、授業では生徒同士の意見交換などを行うなど、幅広く多様な学習に時間を費やすことができます。

「ブレンデッド・ラーニング」と教師のマネジメント

そもそも、ブレンデッド・ラーニングを導入する目的は何でしょうか。
当然のことですが、学習の成果を上げることです。より成果を上げるためには、授業をマネジメントする「教師の働きかけ」がポイントとなります。
まず、教師は採用するオンライン学習の内容やレベルを理解しなければなりません。児童・生徒の視聴の履歴の確認とアドバイスや、学習の定着を測定する「テスト」を行うなど、学習の状況を診断する必要があります。
学習の状況を診断することで、より高度な学習を推奨する、または、遡って学習をし直すことを促すことになります。その際には、オフライン・オンライン学習のコンテンツを用意して、児童・生徒の学習状況に応じて、提供していくことになります。

■ブレンデッド・ラーニングを行う上でのマネジメント
(1)教師はベースとなるオンライン学習の教材を理解すること
(2)授業とオンライン学習を組み合わせること
(3)児童・生徒の履修と学習状況をマネジメントすること
(4)診断的なテストを行い、学習の定着度を確認すること
(5)最適なオンライン学習、オフライン学習のコンテンツを提供すること

このような教師の働きかけが必要となるでしょう。
なぜなら、ブレンデッド・ラーニングを採用することは、学力を向上させるための「手段」のひとつであるからです。

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